躁状態とうつ状態を繰り返す「双極性障害(躁うつ病)」は、およそ100人に1人という高い割合で発症する、原因が未解明の脳の病気です。
双極性障害はうつ病とは別の病気なのですが、躁状態が現れるまではうつ病と診断するほかに手だてがなく、双極性障害の克服を目指した創薬は一度も成功したことがないのが現状です。
病気の発症メカニズムを解明して、確実な診断法や画期的な新薬を開発するには、その病気に似た症状を示すモデルマウスの作製が突破口となりますが、これまで、マウスを泳がせるとやがて動かなるのに対して、抗うつ薬を投与した後だと泳ぐ時間が長く成ることを利用した「強制水泳試験」という、うつ状態そのものではない試験があたかも「うつ状態のモデル」であるかのように何十年も用いられてきたことも、画期的な新薬開発を阻害していた大きな要因と考えられています。
このような状況を打開するために、理研を中心とした研究グループは、ミトコンドリア病という難病の患者がうつ病や双極性障害を示すことに着目し、その原因遺伝子の変異が脳内の神経細胞のみで働くモデルマウスを作成しました。
そして、このマウスを分析した結果、うつ状態によく似た行動変化を示すことを明らかにしました。
さらにこの行動変化の原因となる脳部位を見出しました。
『理研ニュース』2月号の“研究最前線”で、脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チーム 加藤 忠史(かとう・ただふみ)チームリーダーが、自発的にうつ状態を繰り返すモデルマウスを開発して、双極性障害の原因究明と治療法開発に挑む取り組みについて熱く語っています。
この動画で加藤博士の60秒解説をご覧いただけます。
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